2015年御翼10月号その2

あなたがほんとうになりたいと思う人はこれだ                    ――シューラー博士

 仕事の成功とか個人的な目標を達成することよりももっと重要なことは、その過程においてあなたが身につける性格である。

 あなたは「アイ・アイ人間」か
 「アイ・アイ(私・私)人間」とは、自分の利己的な快感を満足させることに感情的な喜びを見いだす人間のことである。このような人間の価値体系を一言で要約するならば、「私は自分のしたいことを、したいときに、したいようなやり方でやる」ということである。
 それはあらゆるレベルの対人関係に悲惨な影響をもたらす。コミュニケーションがいつも問題になってくる。なぜならば彼は、自分が聞きたいと思うことしか「聞かない」からだ。彼は、そこからなにか利益が得られるのではないかと思うときだけ「耳を懐ける。」コミュニケーションには与えることと受け取ることが含まれている。それが対話というものである。しかし「アイ・アイ人間」は与えることができない―したがって受け取ることもできない。なぜならば、受け取ることはつねに(時間、才能、財産)与えることを意味しているからである。このような人はすぐ、この世の殆どの人は自分のことについて心配してくれていないことを発見する。だから彼も、不安定になり、防御的になり、圧制的になり、疑い深くなり、皮肉屋になる。

 あなたは「アイ・イット人間」か
 「アイ・イット(私・それ)人間」は物質のなかに感情的充実を見いだす。このような人々にとっては、人間でさえ物質になってしまいかねない。希望、感情、夢をもった個人ではなく、人々は、それで遊ぶための玩具、用いるための道具、楽しみのための装身具、あるいは投げ捨てるためのがらくたになってしまう。このような人は本当に愛することがない。「私があなたを愛するのはあなたがほしいからだ」「私があなたを愛するのはあなたが必要だからだ」というのが、「アイ・イット人間」の愛の本音なのである。

 あなたは「アイ・ユー人間」か
 「アイ・ユー(私・あなた)人間」は、ほかの人々を、夢や欲望や精神的苦痛や欲求をもった人間としてみる。それはまた、あなたの価値体系と目標をも決定することになる。「それは役に立つだろうか?」「それはしなければならないことだろうか?」「それについて誰かが何かをしているだろうか?」いったい真の愛とはなんだろうか?私の定義によれば、「愛とはあなたの問題を私の問題とする決心をすることである」。

 「アイ・ヒム人間」になる
 イエス・キリストは、「聖霊があなたのなかに入るようにしなさい。そうすればあなたは新しい人間になる」と言われるだろう。あなたが「アイ・ユー人間」になれるのは、あなたが「アイ・ヒム(私・彼=イエス)人間」になったときなのである。キリストに身を献げなさい。そうすればあなたは人々を愛するようになる。トップに登れるようになる。そして、そのようなことをする自分自身を愛するようになる。そのようになってはじめてあなたは、自分が本当になりたいと思う人になれるのである。
ロバート・H・シュラー『あなたは思いどおりの人になれる』(産能大学出版部刊)より

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